あらゆる肌トラブルは“乾燥”にあり
年々自信を奪うシワやくすみ等の年齢サイン。
いつからか気になりはじめたシミ。
鏡を見るたび気になる毛穴やニキビ、ケアが難しい敏感肌……
どのトラブルも一見すると、別々の問題を抱えているように見えます。
でも実は、すべてのトラブルの発生や悪化に関わる、共通の問題があるんです。
それは“肌の乾燥”です。
「特に乾燥は感じていないけど…」という方も要注意。
ここで注目してほしいのは、体感ではなかなか気づくことのできない、「肌の内側の乾燥」です。
気づかぬうちにトラブルを招く「肌の内側の乾燥」
私たちの肌は「三大保湿因子」といって、必要な潤いをキープする力を生まれながらに備えています。
①角質細胞に水分を引き込む「NMF」、②角質細胞の間を潤いで埋める「細胞間脂質(セラミド等)」、③肌表面を保護し弱酸性に保つ「皮脂膜」の3つからなります。
これらがしっかり働くことで、水分や油分等の潤いが保たれた健やかな肌が作られます。
(詳しくは「美肌の基礎知識」をご参照ください。)
三大保湿因子の働きが低下すると…
たとえ肌表面に乾燥を感じていなくても、
「健やかな肌を維持するための潤いは不足しているよ!」
という状態に。
これこそが肌の内側の乾燥です。
「肌の内側の乾燥」が招く3つの問題
カサカサと体感のある乾燥ではないため、ケアが遅れてしまいがちなのが肌の内側の乾燥。
この状態が長く続くと、肌トラブルの要因となる3つの問題がおこります。
1.ターンオーバーの乱れ
ターンオーバーが正常に行われるには、肌にたっぷりの水分が必要です。
水分不足の肌はターンオーバーが乱れ、剥がれ落ちるはずの古い角質が肌表面に蓄積し、NMFやセラミド等の素が十分に作られにくくなります。
やがて潤う力が不足した肌が育ち、潤い不足ゆえにターンオーバーが整わない、といった悪循環をうんでしまいます。
2.バリア機能の低下
角質層が持つ「バリア機能」は、肌の内側の水分が失われないよう保護し、雑菌等の外部刺激から肌を守る防御壁のような働きをします。皮脂膜や細胞間脂質が減少した肌は、防御壁のコーティングが剥がれ、所々穴が空いてしまったような状態といえます。
3.皮脂分泌量の増加
潤いが不足した肌は、皮脂の分泌量を増やすことで乾燥をカバーしようとします。結果、適切な量以上の皮脂が分泌されてしまいます。
この中のいずれか、またはすべての問題が起こると・・・
■シワ(乾燥小ジワ)、ハリの低下
内側の潤い不足によりふっくらとしたハリが低下し、細かなシワがつくられます。
さらに古い角質が蓄積するとシワが目立ちやすくなるうえ、スキンケアで与えたい潤いも浸透しにくい状態に。結果、年齢サインを加速させてしまいます。
■シミ(日焼けによる)
紫外線を浴びると肌内部ではメラニン色素が作り出され、周辺の肌細胞を黒く染めていきます。染まった細胞はいずれターンオーバーで排泄されますが、潤い不足によりターンオーバーが乱れているとシミとして残りやすくなります。
さらに肌は紫外線ダメージを癒すためにターンオーバーを早めるため、セラミド等の保湿因子が作られにくくなり、潤い不足の未熟な肌に育ってしまいます。
■くすみやザラつき
ターンオーバーが乱れ古い角質が蓄積することで、肌にはゴワつきやザラつきが現れます。
潤いが不足し古い角質が肌を覆うため、
内側から潤い透き通るような明るさは軽減。肌のトーンが下がったような印象を作り出してしまいます。
■毛穴の開き、詰まり
潤い不足により肌のふっくら感が失われると、徐々に毛穴の開きが目立つようになります。
角栓は蓄積した古い角質と増加した皮脂が絡み合い、塊となって毛穴を塞ぐことでできます。
毛穴の中の角栓が影となったものや、
皮脂が酸化し黒くなったものが黒ずみです。
■テカリ、吹き出物
皮脂量が増加しますので、肌がテカりやすくなります。Tゾーンがテカリやすいのは、皮脂を作り出す皮脂腺が発達しているためです。
古い角質が毛穴を塞ぎ
皮脂が溜まることで白ニキビとなり、アクネ菌等の菌が増えることで赤ニキビへと進行します。
■肌荒れ(敏感肌)
バリア機能が低下するため外部刺激に対し肌が弱くなります。
細胞間にできた隙間から異物(花粉や大気汚染物質など)が侵入することで炎症が起こったり、皮脂膜の減少により肌の
pH値が乱れ、悪玉菌の増殖による肌荒れを招いたりします。
なぜ起こる?肌の内側の乾燥
あらゆるトラブルの引き金となる「肌の内側の乾燥」はなぜおこるのでしょうか?代表的な例では次のものがあります。
■クレンジング 洗顔
水洗いだけでも多少の潤いは流れてしまうのに、そこに洗浄アイテムを使用すると皮脂膜や細胞間脂質はどんどん奪われていってしまいます。
保湿を頑張っても肌状態が良くならない方は、毎日の洗浄が負担になっている可能性大。
洗浄力の高いアイテムを避ける、熱いお湯ですすがないなど、洗うこと全般を見直してみましょう。
■過度なスキンケア
化粧品には美容成分の他、質感や品質保持等のために使われる成分が配合されています。
それら成分の質や量まで配慮した化粧品ならいいですが、刺激性のあるものを多量に用いた化粧品も多く存在します。
化粧品を何種類も使用したり頻繁に変えたりすると、さまざまな成分の影響をうけることになります。これは肌状態の低下や敏感肌につながるので、化粧品は必要なものを見極めじっくりと使い続けることが大切です。
■加齢
肌で作られるセラミドや皮脂の量は年齢とともに徐々に低下し、セラミドは50代で20代の約半分しか作れなくなります。
ターンオーバーも遅くなるため、年齢を重ねることは意図せず三大保湿因子の低下を招いてしまうのです。スキンケアでしっかりとこの働きを補うことが大切です。
■睡眠不足
ダメージを受けた肌細胞の修復やターンオーバーは、夜寝ている間に活発に行われ、これらを司る成長ホルモンは23時に分泌のピークを迎えます。睡眠不足はその機会を奪うことになるため、肌状態にダイレクトに影響。23時には眠りにつけるようベッドに入りましょう。
どんな時も大切なのは“保湿”です
肌トラブルに悩みスキンケア方法に迷ったときは、「美しい肌はどんな肌?」と問いかけてみてください。答えは「三大保湿因子が働く、内側から潤いに満ちた肌」です。
肌は健やかであることが美しさに直結していて、肌トラブルを寄せつけない健やかな肌は、共通して十分に潤っています。
保湿をする”というのは単に潤わせるだけではなく、肌自らが健やかになるための自活力を高めてあげること。
何歳になってもどんな肌質でも同じです。
今日からあなたの肌に、おしみなく潤いを与えてあげてくださいね。